安芸小倉山城は北広島町新庄にある戦国時代の城跡。

日野山城や吉川元春館など9つの史跡と一緒に、吉川氏城館跡として国の史跡に指定されています。

「史跡 吉川氏城館跡」は下記の9つです。

  • 駿河丸城跡
  • 小倉山城跡
  • 西禅寺跡
  • 洞仙寺跡
  • 日野山城跡
  • 常仙寺跡
  • 吉川元春館跡
  • 万徳院跡
  • 松本屋敷跡

今回は小倉山城の見どころを紹介します。

小倉山城の概要

小倉山城は比高80mの小さな丘陵に建てられた平山城です。

お城の規模は小さいですが、たくさんの曲輪の跡を見ることができるので、本格的な戦国時代のお城だったことが分かります。

小倉山城は1997年に放送された大河ドラマ「毛利元就」で、元就の妻となる美伊の方が生まれた場所として登場し、大河ドラマの放送に合わせて発掘調査も行われています。

発掘調査後も木を切って城の構造を分かりやすくするなど、とてもきれいで見やすく整備されています。

建物などは残っておらず、土塁や堀切、建物跡などを見ることができます。

小倉山城跡の見どころ

小倉山城の入口には広い駐車場があるので、そこに車を止めて、城跡を見学することができます。

城跡の全体像はこのような感じ。

低い山なのでちょっとしたウォーキング感覚でも大丈夫。

本丸までは10分もかからずに登れます。

登城路を進むと最初に見えてくるのが二の丸跡。

2段の曲輪に分かれています。

当時は蔵や番所のようなものがあったのでしょうか?

二の丸の前の登城路はV字型になっていて、下っていくと御座所跡と呼ばれる場所につきます。

御座所跡はとても広い曲輪で、真ん中に井戸の跡があります。

おそらく、ここに当主の居館が建てられ、生活の中心になっていたのではないかと思います。

御座所跡の奥に見えるのが二の丸跡。

本丸を見上げるとこのような感じです。

背後に本丸があり、南が開けているので日当たりが良く、生活するには最高の場所です。

御座所の下にも数段に分かれた曲輪があるので、この南側エリアに家臣たちの屋敷があり、普段の生活が営まれていたのではないでしょうか。

登城路を戻って、本丸の下にある曲輪群に登ります。

ここから上は木が切られて芝生も植えられているので、遺構がとても見やすいです。

小倉山城は保存整備がとても上手に行われているなという印象です。

三の丸に向かう途中に見えてくるのが特徴的な土塁。

登城路がL字に折り曲げられていて、敵が攻め込みにくくなっています。

土塁の上に登ってみるとこのような感じ。

右側が登城路で、土塁によって必ず1つのポイントを通過しなければ城内に入れないようになっています。

城を守る側は土塁の上から弓を放ったり、入口となる地点に兵を集めることで、侵入者を攻撃しやすくなっています。

登城路から土塁を見上げると、攻め上りにくく、攻められやすい造りになっていることが分かります。

土塁の先にあるのが三の丸。

三の丸は縦に長い曲輪で、一段下がった先にも平坦地が続いています。

ここは木が切ってないので、印象が暗めですが、それでも細長い曲輪の輪郭はよく分かります。

来た道を戻って、今度は本丸の南側にある曲輪へ。

この曲輪では建物や土塀、門の跡が発見されています。

説明版にもあるように、礎石の上に築いた建物があったようなので、小倉山城の中でも重要な拠点だったようです。

発掘された門の跡。

門の横に土塀跡があり、土塀と門に囲まれた防御性の高い造りになっていました。

登城路から門跡を見ると、攻め手は急斜面を一列で駆け上がることになり、門が開いていない場合は土塀に空けた狭間から、弓や鉄砲で攻撃される造りになっていたのではないかと想像できます。

同じく、この曲輪では柱を直接土の中に埋め込んだ建物の跡も発見されています。

曲輪の先端から本丸を見上げると、すぐ真上が本丸であることが分かります。

戦になった時はこのスペースで軍議などが行われていたのかもしれませんね。

少し戻って、この階段を上ると小倉山の頂上。

頂上の本丸には建物跡があり、見張り台のようなものがあったのではないかと思います。

説明版には発掘調査の様子も載っています。

本丸はもともと3段に分かれていたものを、改修して2段に分けてあるそうです。

本丸下段から上段を眺めてみると、そこそこ広い曲輪であることが分かります。

段差部分は低い石垣で区切ってあり、発掘調査後は遺構が分かりやすかったのですが、いまは草が生えたり土に埋もれていたりして、石垣の跡が確認しづらくなっています。

とはいえ、全体的にはきれいに整備されているので、戦国時代のお城の全体像が分かりやすいです。

大朝ICから5分くらいで、広い駐車場もあるので、ドライブついでに寄ってみるのもおすすめです。

小倉山城の御城印がもらえる場所

小倉山城の御城印は、

  • 吉川元春館跡にある「戦国の庭歴史館」
  • 道の駅 舞ロードICの観光案内所

の2か所で購入できます。料金は300円。

どちらも小倉山城から離れているので、車で行くのがベストです。

時間に余裕があれば吉川元春館も一緒に見て、戦国の庭歴史館で御城印を購入するのがおすすめです。

小倉山城周辺の見どころ

広島県では厳島神社に次いで2番目に古い龍山八幡神社

小倉山城に向かう途中に龍山八幡神社があります。

この神社の社殿は、吉川家の当主となった吉川元春が再建したもので、広島県では厳島神社に次いで2番目に古い建物だと言われています。

小倉山城に行く際は、こちらも忘れずに立ち寄ってみてください。

吉川元春が築城した要害 日野山城跡

日野山城は吉川元春が築城した(興経の代には城があったともいわれている)山城跡。

主郭には石垣や庭園跡が残っている大規模な山城で、何となく、父である毛利元就が拡張した吉田郡山城や弟の小早川隆景が築いた新高山城に似ています。

ただ、主郭までの道のりが険しいので、気軽に登れる城跡ではありません。

沢の真横を登っていく場所もあるので、登山する場合はしっかりと装備を整えておくのがおすすめです。

日野山城(火の山城)は、元春、元長、広家の3代のみが過ごした居城で、自然に放棄されて廃城になったとされています。

そのため、発掘調査が行われれば、かなり価値のある遺構が出てきそうな気がします。

ただ、高所にある山城で、費用がかかりすぎるため発掘調査が難しいとの事でした。

城域には石垣や庭園跡があり、当時を知る貴重な遺構があるのに、調査が出来ないのは残念ですね。

吉川元春像がある枝宮八幡宮

枝宮八幡宮は広島町大朝にある神社。

出陣の際に、この神社の前を通りかかった元春が下馬して戦勝を祈り、家臣に対して「この宮はおろそかにならんぞ」といったとされています。

現在の社殿は吉川元春と元長親子が再建したもので、かなり古い社になります。

境内には、甲冑姿の吉川元春の像があるのですが、これがかなりカッコいいです。

苔むしたり、風化している部分がありますが、猛将と呼ばれる元春のイメージにピッタリの威厳ある像になっています。

枝宮八幡宮はちょっと分かりづらい場所にあるので、場所をチェックして出かけてみてください。