今回は西区井口(商工センターの近く)にある小己斐明神(小己斐島)を紹介します。
小己斐明神⇒「こごいみょうじん」と読みます。
この、小己斐明神は市街地の中にある不思議な景勝地。
地元民でも知らないおすすめの穴場スポットなので、ぜひ出かけてみてください。
西部埋立第二公園の中にあるもの
JR井口駅の目の前、広島市立井口中学校との間に「西部埋立第二公園」があります。
一見すると何の変哲もない普通の公園。
子供が遊ぶのには十分な広さの平地があり、遊具も設置されています。
ただ、「西部埋立第二公園」には1つだけ普通の公園と違うものがあります。
公園の中にある小己斐明神(小己斐島)
それが公園の西側に見える小さな山。
近づいてみると、大きな池の中に岩山があるのが分かります。
実はこれ、かつて海岸にあった小さな島。
この島は小己斐島(こごいじま)と呼ばれていて、井口周辺が埋め立てられる前は海の中にありました。
そして、近くにあったもう1つの島と合わせて、男明神、女明神と呼ばれていたそうです。
下の古写真は現地の案内板にあったものですが、右側に映っているのが小己斐島(男明神)、左に映っているのが女明神です。
ただ、現在の国道2号線を拡張する際に女明神は削られてなくなり、男明神だけが残されたそうです。
そのため、道路から歩いて公園に入ると、目の前に突然大きな岩山が現れます。
この辺りは平清盛が厳島神社を造営する際に、鈴が峰から切り出した木をこの明神の浜から運び出した場所で、木に刻印をつけて宮島に送っていたので「刻印の明神」と呼ばれていたそうです。
それから後、江戸時代に己斐村の人たちが小己斐島の上に祠をつくって明神様を祭っていたので、今でも小己斐明神の前には鳥居が建てられています。
現地の案内板は下記のような感じ。
島の右側にある人工的な石垣は何なのか気になったのですが、これは漁港の船着き場として利用されていたころの名残のようです。
ここに漁港があったというのは今では想像もできませんが、市街地化した場所に、昔からの景色が切り取ったように残っているのはとても感慨深いです。
しかも、この池の水は海の満ち引きと連動しているとのこと。
なので、正確には池ではなくて海になるのかな?
その証拠に、池の中ではボラやクロダイ?が泳いでいる姿を見ることができます。
それにしても、こういった形で当時の島がそのまま残っているのは本当に感動モノ。
埋め立てられた海のエネルギーが全部ここから噴き出しているかのようで、筆者にとってはとても不思議な感覚のするパワースポットです。
昔から「明神」と呼ばれていたことを考えても、小己斐島を含めた一帯は神聖な場所だったんでしょうね。
西部埋立第二公園を上空から見るとこんな感じ。
公園の中に島を残した、このセンスが本当にすごいと思います。
下の写真は近くにあるライオンの石像。
ここに商工センターの埋め立て事業に関してや、協力した漁業関係者の名前が刻まれています。
なぜ唐突に韓国が出てくるのか分かりませんが、
「代々受け継いだ家業を離れることの悲しさと将来の不安。」
「この獅子の姿の様に広島の逞しい発展が期待されています。」
という一文には、少しグッときました。
埋立て前の空中写真を見てみたのですが、海を埋立てて商工センターをつくるというのは、本当に大規模な計画だったんですね。
埋立て前の様子は近くに住まれていた方が、下記のブログで紹介されています。
とても貴重な写真が見られるので、興味のある方にはおすすめです。
小己斐明神の横には東屋があるので、ここでお弁当を食べたりすることができます。
個人的には観光ガイドに載っててもいいくらいの景勝地だと思いますが、地元でも意外と知らない人が多い穴場スポットです。
岩山の迫力にきっと感動すると思うので、ぜひ訪れてみてください。
駐車場はコインパーキングを利用することになるので、電車を利用すると便利です。
小己斐明神は暗くなると迫力がグッと増すので、夜に訪れるのもおすすめです。